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mealcraft coffee blog - ミールクラフトのコーヒーブログ

越後妻有、新潟県十日町市にあるスペシャルティコーヒー豆専門店『ミールクラフト』のコーヒーブログです。

「美味しさには理由があります。」~お米の産地からの声~


エチオピアのコーヒーの香味をより追求すべく、厳選された産地から更に高品質な生産に取り組んでいる生産者との信頼関係を築く事による直接取引が、近年かなり良いところまで進んできていました。日本でもそのような貴重なコーヒーがごく僅かですがお届けできるようになっていました。
しかし2008年より導入されたエチオピアの新しいオークションシステム「ECX」により、大まかな産地は特定できても今までのような生産者との直接取引が出来なくなってしまいました。せっかく良質なコーヒーを作っても「イルガチェフェ産」として混ぜられてしまうのです…。
ここだけにしかない特別な味が…、とても残念です。

そんなわけで、現在のエチオピアのコーヒー豆は、入荷ロットによって味が多少変わってしまいます。
なるべくブレのない豆を入手したいのですが、エチオピア産のコーヒー豆は農薬検査も厳しく、生産数も少ない上、世界的にも人気のコーヒーの為、十分な量が入りにくい不安定な状況であります。
今現在は幸い、クリーンカップの綺麗なイルガチェフェ産をお届けできています。個性は薄まったとしても、やはり独特のこのモカフレーバーは他の産地ではないのですよね。

そんな時、お客様のK様から頂いたお話がとても印象的でした。
長岡のお米のお話なのですが、まさにコーヒーの状況と同じでとても驚きました!
毎日食べているお米のお話、意外と知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回K様より了解を得て、掲載させて頂きました。是非、皆様も読んでみて下さい。

<K様からのお話>
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我が家は400年続く農家です。
現在畑は私が有機無農薬で250坪でやっていますが、田んぼは両親他界のため委託しています。
それまでは父が作った我が家のお米ばかり食べていたのですが、父亡き後我が家のお米が食べられなくなりました。
父他界の翌年はカントリーのお米でした。
カントリーとは、その地域全体の農家が(例えばコシヒカリの品種を)一斉に刈り取り、刈り取ったままのお米をカントリーに持ち寄り、そのカントリーで乾燥させ、乾燥が終わったお米を農家に配るシステムです。
ただし、このカントリーのお米は長岡の地域の各所のお米が混じってしまうので美味しくありません。美味しくないと言ってしまうと語弊があるのですが、お米の個性が無くなってしまうんです。
例えば「佐藤さんちのお米」であれば、善し悪しは別にしてその佐藤さんちのお米の個性があるんです。
「田中さんちのお米」も田中さんの家のお米の個性がある。
でも、その佐藤さんちと田中さんちのお米が混じると個性が打ち消しあってしまい個性が無くなってしまいます。
お米の個性って、その個性の善し悪しは別として、個性があるお米にはそれぞれの旨さがあるんです。どこか一つ抜きんでた個性は「旨み」として感じられると思います。
だからカントリーに集められたお米は「長岡全体の地域の個性」のお米ではあるのですが、もっと細かい意味でのお米の個性は消えてしまいます。
その個性のなさが「美味しくない」という評価に繋がってしまうことが多いです。
当然長岡産コシヒカリとしては美味しいことは美味しいのですが、生産農家が自分たちの家で食べているお米の個性ある美味しさとは違った美味しさのお米になってしまいます。
なので、お米はカントリーなどで集められたJAがとりまとめた「長岡産コシヒカリ」というお米よりは「佐藤さんちのお米」のほうがより個性が引き立ち、それが美味しく感じます。
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※お米の「カントリー」は、コーヒー生産地では精製所(ミルやファクトリー)と同じような施設、システムですね。

K様の生産者ならではの視点、心から共感します。
そしてそんな風にコーヒーも感じて、楽しんで頂けていることにとても感激しています。

「美味しさには理由があります」

産地を限定するのも、生産者とパートナーを組んで取り組むのも、より光る個性を見い出し、美味しいものをお届けするため。そこまで追求されたコーヒー豆には、コーヒー本来の複雑な香味の感動があると思うのです。心が動く感動があるから、魅力を感じるから、楽しさが持続すると思うのです。
それが”スペシャルティコーヒー”であり、またそのような取り組みがサステイナブル(持続可能性)として重要な事だと思います。

そんな感動を、末永く皆様にお届けしていきたい。
そのようなお仕事をさせていただける事も、心からありがたいと日々感じています。
いつも本当にありがとうございます。

お米のお話もあわせて、今食べているものや美味しさについて、時々でもイメージしてもらえたらいいなと思っています。
そんな情報発信を今後もさせてい頂ければと思います!